うなぎの栄養



夏の季節に、スタミナをつけるためによく食べられる美味しいうなぎ。

ここでは、うなぎの栄養価や効果について紹介します。



夏バテ解消やスタミナアップの効果があることで知られていますが…

実は、老化予防や血管系の病気の予防も期待できる栄養評価の高い食材なのです。


栄養価が体にもたらす影響

夏バテ解消にも!おいしく栄養補給

夏バテは、暑さによる食欲低下で体に必要な栄養素が不足したり、汗をかくことでミネラルやビタミンを失ってしまうために起こります。

うなぎは体に必要なビタミンやミネラルを効率よく補給できるため、夏バテの解消にはもってこいです。

油が多いと消化にかかる負担が増えるため注意しましょう。



高品質なたんぱく質

身体の細胞や組織を構築し修復するために不可欠とされるたんぱく質。

うなぎには良質なたんぱく質が豊富に含まれています。

うなぎのたんぱく質は体内で作り出せないアミノ酸のバランスが優秀で、消化吸収が高いという特徴があります。

せいろ蒸しや蒲焼きなど、身を柔らかく仕上げる調理法によりさらに吸収を高める効果が期待できます。



美容にも老化予防にも効果◎

うなぎに豊富に含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜の潤いを保つ効果があります。

他にも抗酸化作用をもつビタミンE、髪や爪などの健康状態を保つビタミンB2など、体に嬉しい栄養素を豊富に含みます。

また、うなぎに含まれる脂質は魚や植物に含まれる脂不飽和脂肪酸であるため、皮膚の炎症を抑え、美肌にも効果覿面です。



体にもうれしい!せいろ蒸し

うなぎの調理方法によっても栄養価は変化します。

柳川のうなぎ料理を代表するせいろ蒸しは脂質を抑えながらも、たんぱく質やビタミンの栄養価を損なわず摂取することができます。

また、せいろで蒸されることによって温かく柔らかい食感に仕上がり、消化を助け胃腸の負担が軽減されます。


うなぎに含まれる栄養素

次に、含まれる栄養素を一つずつ解説します。



ビタミンA

うなぎの栄養価を代表するのがこのビタミンAです。

魚介類の中でも群を抜いて多く、一尾で一日に必要な摂取量を賄うことが可能です。

ビタミンAには、目の健康を保つ働きがあります。網膜上にある、暗い場所での視力に関わる色素ロドプシンはこのビタミンAで構成されています。不足してしまうと、薄暗い場所で明暗を見る力が鈍くなり、夜盲症を引き起こす恐れがあります。

また、免疫力・防御力アップにも不可欠です。のどや鼻などの粘膜に潤いを与え、菌やウイルスが体内へ侵入するのを防ぎます。

ビタミンAは排出されず体内に蓄積されるため、過剰摂取には注意が必要です。


食品100gあたりの含有量
うなぎ1,500μg
チーズ240μg


ビタミンA:目の健康・感染症予防・免疫力を高める



ビタミンB1

糖質をエネルギーに変える酵素を手助けする働きがあります。

疲労回復の効果があるほか、脳のエネルギー源に欠かせないブドウ糖からエネルギーを作り出すことで、神経機能を正常に保っています。

白米食が広まり始めた江戸〜明治時代には、ビタミンB1欠乏による脚気が流行し、国民病とされていました。

欠かすことのできないビタミンB1は副食でバランスよく摂取する必要があります。

白米とうなぎを同時に摂取することで、より吸収を高める効果が期待できます。


食品100gあたりの含有量
うなぎ0.75mg
豚もも肉0.90


ビタミンB1:疲労回復・脳のエネルギーになる



ビタミンB2

こちらもうなぎに豊富に含まれている栄養素です。脂質・糖質・タンパク質をエネルギーに変える働きがあります。

活動量が多い人ほど必要な栄養素です。『発育のビタミン』とも呼ばれるビタミンB2は、髪、爪、皮膚などの細胞の再生にかかわり、正常に保つ機能があります。

調理法にとらわれないため、蒲焼をはじめ、いろいろなうなぎ料理で摂取することができます。

不足すると、口内炎、口角炎、皮膚炎などの皮膚や粘膜のトラブルを引き起こします。

成長の促進に関わるビタミンのため、不足すると成長障害を起こします。


食品100gあたりの含有量
うなぎ0.74mg
全卵0.43mg


ビタミンB2:髪や爪、皮膚の健康状態を保つ



ビタミンD

魚介やきのこ類に含まれる栄養素で、「万能ビタミン」とも呼ばれます。

カルシウムの血中濃度を調節し、吸収や代謝を助けます。

カルシウムは体への吸収率が低いのですが、ビタミンDと一緒に摂ることで運搬と吸収を助け、骨への沈着を防ぎます。

骨や歯の成長に必要不可欠な栄養素です。

また、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。

日の光を浴びることで体内でも合成されるので、食事のついでに日光浴も行うとより効果的です。


食品100gあたりの含有量
うなぎ19μg
32μg


ビタミンD:カルシウムを助け、骨や歯の形成・成長促進



ビタミンE

ビタミンEには細胞の抗酸化作用 があります。

脂質の細胞を酸化から保護することで細胞の機能や構造を保持し、細胞の老化を遅らせると言われています。

また、血管の拡張を促し、血の巡りを良くする働きもあります。

酸素を体のすみずみまで行き渡らせることで、新陳代謝を高め肌のターンオーバーを促進する効果があります。


食品100gあたりの含有量
うなぎ4.9mg
めかじき4.4mg


ビタミンE:血行促進・抗酸化作用・性ホルモンの代謝・美肌効果



カルシウム

骨や歯を丈夫にするほか、神経興奮を抑制する作用を持ち、ストレスを鎮める効果があります。

カルシウムの吸収効率を高めるにはビタミンDと一緒に摂るのがおすすめです。

吸収を促し、骨に沈着するのを助ける作用があります。


食品100gあたりの含有量
うなぎ150mg
小松菜136mg


カルシウム: 骨や歯を丈夫にする・ストレスを鎮める



亜鉛

タンパク質を含む食品に豊富に含まれる亜鉛は、新しい細胞を作り出すのに必要不可欠なミネラルです。

細胞の新陳代謝を促進させ健康状態を保つ働きがあります。

また、大きな特徴として正常な味覚を保つ働きもあります。物を食べるとき、舌の表面にある味蕾で味を感じ取っています。

味蕾の細胞の入れ替わりを促し、味覚を正常に保つことで、毎日の食事を美味しく感じさせているのは他でもない亜鉛の役目なのです。


食品100gあたりの含有量
うなぎ2.7mg
牛バラ肉3.0mg


亜鉛:肌、爪、髪などの健康維持・味覚を正常に保つ



タンパク質

筋肉や臓器を作る、人体に欠かせない栄養素です。

うなぎには良質なタンパク質が豊富に含まれています。

人間の体内では作り出せない必須アミノ酸のバランスが良く、うなぎのアミノ酸スコアは100点満点中「97」とされています。


食品100gあたりの含有量
うなぎ23g
鶏むね肉21.5g


タンパク質:筋肉や内臓など、人体の構成成分の主な材料になる



DHA・EPA

DHAとEPAは、体内で生成されない不飽和脂肪酸の一種で、魚の油に豊富に含まれます。

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、血管系の病気の予防、免疫、脳、神経機能の改善効果が期待されています。

EPA(エイコサペンタエン酸)は、血液をサラサラにし、血管系の病気を防ぐ効果があります。


DHA・EPA:血管系病気の予防・成人病の予防



ムコ多糖類

粘液や軟骨に含まれる成分で、ヌメヌメとした皮膚部分に含まれています。

保水能力に長けていて胃腸の粘膜を強化する働きがあります。


うなぎを食べよう

うなぎは、高齢者の方や毎日の運動量が多い方へ特におすすめな栄養素がたっぷり含まれたスタミナ食材です。

豊富な栄養素を効率よく摂取できるため、食欲の失われる夏でも夏バテ対策として美味しく取り入れることができます。

また、柳川ではせいろ蒸しをはじめとした伝統的なうなぎ料理を味わうことができます。栄養豊富なうなぎを柳川の歴史的な風景とともに楽しんでいただきましょう。